実写版「白雪姫」の配役が巻き起こした議論
ディズニーの実写版「白雪姫」は、そのキャスティングにおいて大きな議論を巻き起こしました。特に白雪姫役にコロンビア系米国人俳優のレイチェル・ゼグラーが起用されたことが、多くのファンの間で波紋を呼んでいます。原作の「雪のように白い肌」という描写と異なることが指摘され、一部では「原作のイメージを大きく変える配役だ」との批判が相次ぎました。
ゼグラー自身も、自身のキャスティングに対する批判や疑問の声を受けたことを認めており、公開前からその発言や振る舞いが話題となっていました。
邪悪な女王役ガル・ガドットの起用が生んだ政治的対立
「邪悪な女王」役にはイスラエル出身の女優ガル・ガドットがキャスティングされました。しかし、彼女の過去のイスラエル軍での経験や、中東情勢に関する発言が議論を呼びました。特に、ゼグラーがパレスチナ支持の立場を示すツイートをした一方で、ガドットがイスラエル支持を表明していることから、両者の共演が文化的・政治的な対立を象徴するものとして捉えられています。
このキャスティングに対しては、単なる映画の枠を超えた国際的な視点からの批判や支持が寄せられ、SNSを中心に議論が加熱しました。
7人の小人の描かれ方に対する批判
さらに、7人の小人の描き方も論争の的となりました。俳優ピーター・ディンクレイジは、伝統的なステレオタイプの強化につながるとして警鐘を鳴らしました。ディズニーはその指摘を受け、新たなアプローチを試みると表明しましたが、最終的には小人のキャラクターをCGIで表現することとなり、実際に小人症を持つ俳優は一人しかキャスティングされていません。
これに対して、一部の視聴者からは「多様性を重視した結果、逆に小人症の俳優に対する機会を奪っているのではないか」という批判も上がっています。
物語の改変に対するファンの反発
実写版「白雪姫」では、原作の物語にも変更が加えられました。特に、従来の「王子を待つお姫様」という白雪姫像から、より自立した女性像へとシフトする描き方が採用されています。
この変化について、ジェンダー意識の向上を反映していると評価する声がある一方で、「原作の魅力が損なわれている」「過度な政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス)が取り入れられた結果、物語の本来の魅力が失われた」といった意見も多く寄せられています。
また、ゼグラーが「アニメ版の白雪姫は時代遅れ」と発言したことが、原作ファンからの反発をさらに強める要因となりました。
興行収入と商業的成功の行方
本作の制作費は約2億7000万ドルとされており、大規模なプロジェクトとして注目されていました。しかし、公開後の初週の興行収入は4300万ドルにとどまり、期待を大きく下回る結果となりました。
業界のアナリストによると、今後の興行収入の伸び次第ではありますが、公開後の評価や論争が観客動員に影響を与えている可能性が高いと指摘されています。特に、映画のキャスティングや描写に対する批判がSNSを通じて拡散されていることが、興行成績の低迷につながっていると考えられています。
まとめ
実写版「白雪姫」は、キャスティングやキャラクターの描写、物語の改変に関する議論を巻き起こし、文化的・政治的な側面からも注目を集めました。レイチェル・ゼグラーの起用やガル・ガドットのキャスティング、7人の小人の描かれ方、ストーリーの改変など、多くの要素が賛否を呼んでいます。
また、映画の興行成績が期待を下回る結果となったことから、ディズニーにとっても今後の実写映画戦略を再考するきっかけとなるかもしれません。今後の映画業界における「多様性」と「原作の尊重」のバランスがどのように取られるのか、引き続き注目が集まりそうです。
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