新宿区の飲食店で従業員がコロナ感染 店側に賠償命令
東京都新宿区の北京料理店で勤務していた中国籍の男性が、新型コロナウイルスに感染して死亡したことをめぐり、東京地方裁判所は店舗側に6800万円余りの賠償を命じる判決を下しました。裁判所は、店舗が十分な感染対策を講じていなかったことが死亡の要因となったと認定し、遺族の訴えの一部を認めました。
判決の背景と店舗の問題点
判決によると、男性が勤務していた店舗は、緊急事態宣言中にもかかわらず24時間営業を継続し、アルコールの提供制限も行っていませんでした。また、店内にはアクリル板が設置されておらず、従業員の感染防止対策が不十分だったことが指摘されました。
さらに、男性の勤務状況についても問題視されました。彼は長時間労働を強いられており、他の従業員も同時期に感染していたことから、店舗の環境が感染拡大の要因になった可能性が高いと判断されました。
遺族の訴えと裁判所の判断
亡くなった男性の遺族は、約7800万円の損害賠償を求めて訴訟を起こしました。裁判所はその一部を認め、店舗側に6800万円余りの支払いを命じる判決を下しました。判決を担当した大須賀寛之裁判長は、「感染防止策の不備が従業員の健康を危険にさらし、結果として死亡に至った」と指摘しました。
飲食業界に与える影響
この判決は、コロナ禍における企業の安全管理のあり方に大きな影響を与える可能性があります。特に、感染症の流行時における労働環境の管理や、従業員の安全を確保する責任について、今後の判例として注目されています。
また、飲食業界においても、感染症対策の強化が求められることになるでしょう。今回の事例を受け、今後は従業員の健康管理や感染防止策の徹底が、企業の法的責任を回避するために一層重要になってくると考えられます。
まとめ
東京地方裁判所は、新型コロナウイルスに感染して死亡した従業員の遺族の訴えを一部認め、店舗側に6800万円の賠償を命じる判決を下しました。この判決は、企業の感染症対策の在り方に影響を及ぼし、今後の労働環境の改善に向けた議論を呼ぶことが予想されます。
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