甲状腺機能低下症の主な症状
甲状腺機能低下症の症状は多岐にわたりますが、特に次のようなものがよく見られます。
- 慢性的な疲労や無気力
- 寒がり(寒冷への過敏な反応)
- 体重増加やむくみ
- 動作が遅くなり、集中力や記憶力の低下
- 皮膚の乾燥や脱毛
- 便秘
- 声のかすれ
- 月経不順や不妊
これらの症状が複数当てはまる場合は、早めに医療機関で検査を受けることが重要です。
甲状腺機能低下症の主な原因
甲状腺機能低下症には、さまざまな原因が考えられます。
橋本病(慢性甲状腺炎)
自己免疫疾患の一種であり、免疫システムが甲状腺を誤って攻撃することで、ホルモンの分泌が減少します。特に中年女性に多く見られます。
ヨウ素の過剰または不足
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となるため、過剰摂取や不足が機能低下を引き起こす可能性があります。
放射線治療や手術
甲状腺がんやバセドウ病の治療として、甲状腺を摘出したり放射線治療を受けた場合、その後にホルモン分泌が低下することがあります。
薬剤の影響
抗がん剤や抗不整脈薬など、一部の薬が甲状腺機能に影響を及ぼすことがあります。
甲状腺機能低下症の診断方法
診断には主に血液検査が用いられ、以下のホルモン値を測定します。
- TSH(甲状腺刺激ホルモン):高値の場合、甲状腺の働きが低下している可能性が高いです。
- T4(サイロキシン):低値の場合、甲状腺機能低下が疑われます。
- 抗TPO抗体:橋本病の診断に用いられる抗体で、陽性の場合は自己免疫疾患が関与している可能性があります。
甲状腺機能低下症の治療法
甲状腺機能低下症の治療には、合成甲状腺ホルモンの補充が一般的に行われます。
ホルモン補充療法
チラーヂン(レボチロキシンナトリウム)という薬が処方され、不足している甲状腺ホルモンを補います。服用量は症状や検査結果に応じて調整され、適切なホルモンバランスを維持することが重要です。
定期的な血液検査
治療中は定期的に血液検査を行い、ホルモンのバランスが適切であるかを確認する必要があります。特に妊娠中の女性は、胎児の発育に影響を及ぼさないよう、慎重な管理が求められます。
甲状腺機能低下症の予防と日常生活の注意点
甲状腺機能低下症は完全に予防することが難しい病気ですが、生活習慣を見直すことでリスクを低減できます。
- バランスの取れた食事:ヨウ素を適量摂取し、栄養バランスを整えることが大切です。
- ストレス管理:ストレスは自己免疫のバランスを崩し、甲状腺機能に悪影響を与える可能性があります。
- 定期的な健康診断:40歳以上の女性は特に甲状腺の健康チェックを受けることをおすすめします。
甲状腺機能低下症は、早期発見と適切な治療によって症状を管理できる病気です。日常生活の中で気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切なケアを行いましょう。
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